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循環水浄化とは?凝集沈殿法の2つの問題点と解決策を解説

湿式スクラバーでは排ガス処理に大量の水を使いますが、水を循環利用することで水道代のコストを削減できます。そこで問題になるのが、汚染物質を含んだ循環水の処理です。

今回は、循環水の処理の重要性と、処理方式の一つである凝集沈殿法の問題点と解決方法についてご説明します。

循環水浄化とは

循環水浄化とは、工場などで利用した水を川や海に戻す前に、水の中に含まれている不純物を取り除くことを指します。浄化処理していない循環水をそのまま排出してしまうと、川や海を汚染してしまいます。日本では、川や海の水質を守るために、水処理に関する法規制がこれまでに何度も改正されています。

実際、一度汚れた川や海を元に戻すためには多くの労力と費用が必要とされますので、循環水の処理は非常に重要と言えるでしょう。

循環水浄化に関する法律は水質汚濁防止法がありますが、他にも土壌汚染対策法など関連法が存在します。これらの法律に違反すると、賠償金が課せられ多額の費用を負担しなければならない場合もあります。そのため、循環水を利用する事業者は、循環水の処理について正しく知る必要があるでしょう。

循環水浄化の多くは凝集沈殿法で行われる

循環水浄化の多くは、「凝集沈殿方式」と呼ばれる方式で行われています。ここでは、凝集沈殿法とは何かをご説明します。

凝集沈殿方式は、凝集剤を使用して循環水に含まれる汚染物質の微小な粒子を結合させ、粒子を大きくして沈殿させる方式です。凝集剤を使わない単なる沈殿方式では、汚染物質の粒子が小さすぎる場合に沈殿速度が遅いため、沈殿がなかなか進みません。そこで、汚染物質を凝集剤により凝集させてから沈殿させて処理することで、循環水浄化を効率よく行えるのです。凝集剤には、塩化第一鉄や硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなどがあります。

凝集沈殿方式と活性汚泥方式という方式を併用する場合もあります。活性汚泥方式は、微生物の力で循環水に含まれる有機物を分解させることで処理する方式です。微生物の活動には酸素が必要不可欠なため、適した装置を利用して循環水に酸素を供給する必要があります。

この二つの方式を組み合わせ、活性汚泥方式で除去しきれなかった汚染物質を凝集沈殿法で処理することもあります。

凝集沈殿方式で循環水浄化を行う問題点と解決策

上記でご説明した凝集沈殿方式ですが、いくつかの問題もあります。ここでは、凝集沈殿方式で循環水の処理を行う際に生じる問題点と、その解決策についてご説明します。

凝集剤の使用でランニングコストがかかる

凝集沈殿方式を行うために必要なのが汚染物質を凝集するための凝集剤ですが、凝集剤は一度使うとなくなる消耗品です。そのため、循環水の処理をし続けるためには、ランニングコストがかかるという問題点があります。

ランニングコストを抑えるための方式は、いくつかあります。凝集剤の性能をアップさせたり、汚染物質の種類に合った凝集剤を選んだりして、時間あたりに処理できる循環水の量を増やすという方式です。少ない量の凝集剤で安定的に処理量を向上させるために、多くの企業が研究開発を行っています。

凝集沈殿法では凝集剤の使用が不可欠なため、凝集の性能をアップさせなければランニングコストを抑えることは難しいと言えるでしょう。

発生した汚泥の処理にコストがかかる

凝集沈殿法と併用して行われる活性汚泥方式には、循環水を処理する過程で汚泥が発生するという問題点があります。発生した汚泥は廃棄処理する必要があり、コストがかかります。

活性汚泥方式でなぜ汚泥が発生するのか、その廃棄処理とはどのようなものなのかをご説明します。

活性汚泥方式とは、微生物が循環水に含まれる有機物を分解することで、循環水が浄化される方式です。微生物による分解が進むと、汚染物質は最終的に単純なガスに転換されます。しかし、すべての汚染物質がガスになるわけではなく、汚泥が残ることがあります。この微生物が処理しきることができず残った汚泥を、余剰汚泥と呼びます。余剰汚泥は現在のところ、焼却した後に埋め立て処理するしか現実的な方式がありません。しかし、この廃棄処理方式はコストがかかるという問題点があるのです。

このような汚泥処理の問題に対して、汚泥の「熱分解」や「メタン発酵」という新たな処理方式が開発されつつあります。今後新たな汚泥処理の方式が確立されれば、汚泥処理のコストの問題が解決されるでしょう。

まとめ

工場などで発生する循環水の処理は、川や海を美しく保つために非常に重要なものです。実際、水質汚濁防止法などの法律によって、循環水の処理が規制されています。循環水の処理方式の代表的なものに凝集沈殿法がありますが、ランニングコストがかかる、発生した汚泥の処理が必要などの問題もあります。

循環水の処理が必要な事業者の方は、効率のよい循環水の処理方式について考えていく必要があるでしょう。

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