排水の腐敗について

お客さんから腐敗と供給酸素量の関係について話しが上がりましたので、これまでの経験から少しお話しさせていただきたいと思います。

「BOD負荷からすると、十分に空気量は足りているはずなんだけど処理がうまくいかない・・・」

よく聞く話です。そうした現場は決まって腐敗臭が漂っています。
そうした現場の方は、下水道処理のガイドライン(排水処理の教科書)をしっかりと把握された、非常に真面目な方が多いのではないかと思われます。根が不真面目であまのじゃく、学生時代から教科書嫌いの私は、そうした面倒くさいことを一切避けてきましたが、現在アクアブラスターをご使用いただいている現場では、『まったく腐敗臭はしない』といっても言い過ぎではないと思います。それは、教科書ではなく受注した現場で大失敗して、徹底的にイヤというほど思い知らされたからの結果です。

以前にK食品さんでの苦しんだ話しを書かせていただきましたが、慣れない当初は不安もあったので元大手水処理メーカーで設計を行っていた方に設計を依頼させていただきました。上がってきた図面をみて、明らかに調整槽の散気管が少ないなと思い尋ねてみると、「BOD負荷からするとこのエア量で絶対に腐敗しない!」と自信満々だったので、安心して任せることにしました。

いざ試運転が始まり、その2日後には、「調整槽が腐敗してきた!」とお客様から呼び出されました。現場に到着すると、確かに腐敗臭が周辺にまで立ち込めていました。

「腐敗臭はしないという話しだっただろ!!」と担当者にこっぴとぐ叱られ、すぐさまアクアブラスターの増設とブロワの風量アップの改造を行わせていただきました。設計者にクレームとしてその件を伝えても、「そんなはずはない。計算通りだ!」と一点張りなので、仕方なくうちの負担で改修工事を行い、なんとか問題解決に至りました。

そのときの状況ですが、BOD:2000㎎/L、SS:1500㎎/L、n-hex:300㎎/L前後の排水に対して、腐敗していた時のエア量は、『37.5L/min/m3』でしたが、『60L/min/m3』に増量することで腐敗しなくなりました。
しかし、それでもエアの不足感は拭えず、体感上最低でも、『70L/min/m3は必要だな』とその時感じました。

その後、現場主義の同業者と情報交換の中で、水処理が上手くいっている現場のエア量は、『80L/min/m3』以上だよねという会話を耳にしましたが、本当にそうだと思いました。

80L/min/m3だと多すぎると言われる方もいらっしゃいますが、最近では、最先端の大手水処理業者さんでも、90L/min/m3以上で設計されているのが実情です。私の考えは、水処理は一旦始まってしまうとなかなか改造も難しいので、多少の過剰設計でも構わないと思います。

と言いますのも、『省エネや何よりも処理がまず優先』と思っているからです。
処理が設計以上に上手くいって過剰設計と思われるなら、あとでブロワをインバーター制御したり、タイマーで間欠運転したりすることで、省エネもできますし、何とでもコントロールできるからです。実際に、アクアブラスターを導入していただいている路線バスの洗浄や整備を行っている整備工場の鉱物油排水処理の現場のブロワの稼働時間は、1日に10時間しか動いてないんです。

以上、参考になりましたら幸いです。
(微生物と酸素の関係は、過去の9月14日の微生物(バイオ)についてをお読みください。)

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