脱臭事業を始めたきっかけ その1

今回は、水処理でスタートしたアイエンスが、脱臭事業を始めたきっかけをお話しさせていただきます。
今から12年前の平成11年、D自動車工場さんの電着塗装乾燥炉(塗装後に焼き付け乾燥を行う)排ガスを処理するスクラバーという水洗シャワーで排ガスを洗浄する装置を使用されていました。ところが、排ガスが非常に高濃度でヤニ・タールを含むことから、そのスクラバーの循環水槽の水は、真っ黒で、タンクの内壁に黒いバター状のヘドロがべっとり2㎝くらいへばりついている状態でした。
この中にアクアブラスターを入れて、水が浄化されるかどうか、実際の現場に仮設で設置してみて、様子を見てみようということになりました。
仮設で設置しアクアブラスターで曝気したところ、一か月が経過しても、これまで真っ黒だった水は肌色の状態で維持され、黒いバター状のヤニも壁面につかなくなりました。
それだけでなく、水がきれいになったことによって、排ガス捕捉効率までアップしたと担当者から聞かされました。
そのため、2週間に一回の清掃が2か月に1回ほどに減り、清掃コストも4分の1に低減されたのです!
非常にうまくいったのですが、この時には、まだ脱臭機をメーカーとして製作するなど、夢にも思っておりませんでしたが、それから2年後にアイエンスの兵庫支店の近くにある焼肉店から、「新築開店する予定だったが、周辺住民の反対にあってオープンできない」と相談が入りました。
そこで、D自動車工場での経験を生かして、スクラバー装置を提案しようと考えたのですが、脱臭機を設置する場所がなかったので、本来駐車場となる場所の地下にピットを構築していただき、上部をシャワー、下部を水槽にした地下埋設ピット型スクラバーを設置させていただきました。もちろん、焼肉の油が入ってくることが予想されていたので、水槽内には、アクアブラスターを設置しました。
何とか住民の承諾を得て、オープンに踏み切ったのですが、臭いがするようだとすぐに営業停止していただうという条件付きでした。オープン当日は、もちろん満席状態で、水蒸気に近い白煙と水に溶けにくいアルデヒド系のコゲ臭は多少感じましたが、敷地境界でスタンバイしていた住民も、「これじゃあ何にも文句は言えないね」と言っていただけるほど焼肉の臭いは消えており、店主からも即合格点を頂戴して、検収に至りました。
循環水も蒸発分を補うだけで、現在も半年に1回メンテナンスを行っていますが、その時に水を交換するだけで、間に合っています。ちなみにその時ノルマルヘキサン抽出物質濃度は、5mg/L以下となっており、放流規制値の30mg/Lを大きく下回っておりますが、これはアクアブラスターの効能です。もちろん、循環水からの臭いは、多少のコゲ臭を感じるくらいで、悪臭とは感じません。
これを境に、小さなベンチャーが水処理の仕事を取ろうとしても、信用がないし、何より案件情報が
乏しかったので、脱臭も事業の一つの柱にしようと考えたのでした。

地下埋設ピット型スクラバー
排ガス処理システム